ちょっとブラックで怖いサンタクロースのルーツ!肉屋を懲らしめたサンタの辛口ストーリー
クリスマスになると、子供たちにプレゼントを運んでくれるサンタクロース。
赤白の服に白いひげ、鼻はまんまるくて、ちょっと太っちょ、陽気にワハハと笑う・・・というイメージがありますが、本当にちょっと怖い逸話がサンタクロースのルーツなのです。
子どもたちには話せない、ブラックサンタのエピソード。「眠れる森の美女」「白雪姫」など古典的童話でも、ただの勧善懲悪だけではない、ちょっと辛口大人向けムービーがはやったりしています。
そんな、「サンタクロース」のルーツと、「サンタがなぜプレゼントを配るのか?」という根本的な疑問について、改めて調べてみました。
サンタクロースのルーツ なぜサンタクロースは子供たちにプレゼントを配るのか?
子供達にプレゼントを運んでくれるサンタクロースのルーツは、4世紀ころ、今のトルコあたりにあったカトリック教会の司教、ニコラス(聖ニコラス)と言われています。
聖マリアをサンタ・マリアと言うように聖ニコラスをサンタ・ニコラス、 サンタ・クロースと呼ぶようになりました。
聖ニコラスはギリシア南部の裕福な家庭に生まれ育ち、のちにトルコ南部司教となりました。西暦271(または280)年から、342(350年頃)年12月6日まで 生きたとされ、6世紀に聖人に列せられた後、 12月6日が聖二クラウスの祭日となりました。
彼にはいくつかのお話が残っていますが、聖ニコラスは、困っている人や貧しい人を助ける、心優しい聖人でした。ある夜、3人いる娘たちのうち、娘を売らなければならないほど貧しい家族がいました。
まずは、長女が結婚を諦め、泣く泣く売られていくことになっていました。聖ニコラスはそのことを知り、その家の煙突から金貨を投げ入れました。投げ入れられたその金貨は、ちょうど暖炉のそばに干してあった靴下の中に、見事スルーイン!
そのお金のおかげで娘は売られることなく家族は救われ、長女は意中の恋人と結婚することができたのです。サンタクロースのプレゼントを、靴下吊るして待つのは、そんな話からきているそうです。
聖ニコラスは、同じことを下の2人の娘のときも繰り返し、その家庭を救いました。三女の時、両親はもしかしたら、また誰か金塊を放り込んでくれるかも 知れないと考えました。もしそうなら、その人に会って、必ずお礼を言わなければと考え、 夜ずっと待っていました。
そしてついに三度金塊を届けに来た聖ニコラスを 見つけ、それが隣人の若者であったと知り驚き、両親は感謝しました。しかし聖ニコラスは、誰にもこのことは言わないようにと言い、立ち去りました。
この逸話から、サンタクロースが清貧に生きている人たちに、幸福のプレゼントを与えてくれる、という言い伝えが生まれてきました。
煙突から金塊が投げ入れらてたので、サンタクロースが煙突から入って 贈り物を入れてくれるという物語も、ここから生まれたと言われています。
白い服に赤いひげのサンタのイメージは、コカコーラの宣伝から
聖ニコラスの司教の僧服の色が赤であることから、サンタクロースも赤い服を着ていると想像され、それが世界一有名なコーラ会社の宣伝ポスターに描かれました。
大量生産大量消費の、ハッピーなアメリカンドリームの時代。クリスマスにはターキーとコカコーラで楽しいクリスマスパーティを!と、コーラとともにサンタクロースのイメージは瞬く間に全世界に広がりました。
クリスマス大衆化以前の、ちょっと怖いブラックサンタさん
日本にも、第二次世界大戦後、コカコーラとともにクリスマスを祝う習慣や、サンタクロースの物語が、アメリカから伝わってきました。
そのため、日本では最初から、サンタクロースは子供たちの味方、いつもニコニコしてプレゼントをくれるおじいさんというゆるぎないイメージが確立しました。
聖ニコラスは子供の守護してくれる聖人としての言われもあり、子供たちにプレゼントを配る、という役割がピタッとはまったのでしょう。
そもそも、聖ニコラスが子どもたちを守る守護聖人であるのは、ただの人の好いサンタクロースではなく、虐待された子供、救われない子供を真に救い、大人たちの身勝手さ許さない勇敢な聖ニコラスの姿があります。日本ではあまり知られていない、ちょっと怖いブラックサンタのお話です。
ある飢饉の年、食べるものがなく仕方なく落ち穂拾いに出かけた3人の子供たち。森の中で迷い、森の中で見つけた肉屋に、一夜の宿をお願いしました。しかし、肉屋の夫婦は3人を殺し、樽の中に放り込み、塩漬けにしました。
それから7年後、聖ニコラスがこの森を通りがかり、肉屋に入って食べ物をもらえないかとお願いしました。肉屋はハムと子牛の肉料理を出しましたが、聖ニコラスは 『七年前のあの塩漬けの肉が欲しい』と言いました。
驚き恐れた肉屋は その罪を詫びて神に許しを乞いました。
そして、聖ニコラスが店の奥にあった塩漬けの樽に指を三本のせると、樽の中から三人の子供たちは、まるで今まで眠っていたかのように、大アクビを しながら出てきました。
グリム童話のヘンゼルとグレーテルや、赤ずきんちゃん、三匹の子豚などを思い起こさせる、少しブラックなメルヘンです。この子供を救った逸話から、聖ニコラスは、子供の守り神となり、発展して子供たちに幸福をプレゼントしてくれる存在となるのです。
こういった数々の武勇伝を持つ聖ニコラス。聖ニコラスが亡くなったあと、遺骨がトルコからイタリアに移されると、カソリックの中心ともいえるイタリアやローマでは、「聖ニコラスの 一大ブーム」が起こります。
そして命日の12月6日に聖人の業績を称えて、修道院の僧たちが劇を上演。その演目が、「肉屋から救われた三人の子供」の話や「3人の娘を救った金塊」の話で、一気に聖ニコラス=サンタクロースの存在は有名になりました。
その後、宗教革命がおこり、カトリック教会でなく、聖人信仰をしないプロテスタント教会が起こります。
アメリカの新大陸に渡った「清教徒(ピューリタン)」と呼ばれる人たちが、聖ニコラスの司教としての偉業をたたえるクリスマスから、イエスキリストの生誕を祝う今の形のクリスマスを広めていきます。
これが、アメリカ式のサンタクロースのイメージへと発展していくのです。
ヨーロッパに逆輸入されたキリスト生誕のクリスマスのお祝い
サンタクロースの逸話は、そものそもルーツは、古代・中世ヨーロッパの少しおどろおどろしい寓話や、精霊信仰・土着信仰から来ています。
しかしその話がアメリカの新大陸に渡ると、キリストの生誕のお祝いに変化していき、今や、ヨーロッパを含めた世界中のクリスマスのスタンダードとなっています。
クリスマスツリーの飾りや、リース、オーナメントなども、イエスキリストの生誕のエピソードから来ています。
「クリスマスカラー」と呼ばれる赤、緑、白ですが、それぞれ、赤はキリストが流した血の色、白は純潔、緑は決して枯れることのない常緑樹のイメージから永遠を表します。また、一緒にあしらわれる飾りの金と銀は、キリストの気高さや高貴さをあらわしているそうです。
ツリーのてっぺんに飾るトップスター(頂上の星)は、鮮やかに輝いた星が、遠くにいた賢者をキリストが生まれたベツレヘムまで導いた、という逸話から来ています。また、そのときの星を表現しています。
ベルは、キリストの誕生を知らせた天使のベルを表し、魔物を寄せ付けない聖なるベルでもあるそうです。杖の形をしたキャンディは、「キャンディー・ケーン」と呼びますが、杖のことで、羊飼いが使う杖をあらわしているそうです。
肉屋の少し怖い寓話はすっかり劣勢になり、「聖ニコラス祭り」に始まる宗教的な風習や一部の聖人や貴族などの特権階級の行事でなく、一般の庶民も楽しめる行事として、アメリカからヨーロッパに逆輸入されたと言えます。
クリスマスの意味や物語も不偏化されて、グローバルスタンダードになったと言えます。
子供たちが寝た後の、大人同士のワイン片手の薀蓄(うんちく)話
いつもニコニコして世界中の子供たちに幸福を運んでくれるサンタクロース。そのルーツは、意外と知られておらず、むしろ「サンタランド」や「サンタさんへの手紙」「サンタ電話」の方が有名になっています。
大人向け、ちょっと辛口の、ブラックサンタのエピソード。子供たちが寝た後の、大人同士のワイン片手の、ちょっとスパイスの効いた、薀蓄(うんちく)話にいかがでしょうか。
ちょっとブラックで怖いサンタクロースのルーツ!肉屋を懲らしめたサンタの辛口ストーリー
- サンタクロースが子供たちにプレゼントをするルーツは、4世紀ころ、今のトルコあたりにあったカトリック教会の司教、ニコラス(聖ニコラス)から
- サンタクロースのイメージの白ひげに赤い服装は第二次世界大戦後のコカコーラから
- クリスマスには、肉屋が3人の子供を塩漬けにしたブラックな説がある
- ヨーロッパで生まれたクリスマスだが、アメリカから逆輸入されてお祝いのパーティーになった