チョコレートを使った甘くないバレンタイン料理は、チーズや味噌とマリアージュ
バレンタインといえば、チョコレート。
市販もの、手作りのものなどいろいろありますが、熱い恋の告白だけでなく、旦那さんや息子さんなどへも、日ごろの感謝や愛をこめて、未既婚問わず、チョコを贈ったり、いただいたりします。
生チョコレートの代表ガナッシュや、チョコ菓子、チョコレートケーキなどが定番ですが、たまに男性で、「甘いのが苦手」という人もいます。
チョコレートそのものが甘いのではなく、チョコと混ぜ合わせる砂糖が甘味を出していますが、今回は、甘くしない味でのチョコ使った料理のレシピを紹介します。
甘いのも大好きなチョコレート好き「スイーツ男子」はもとより、甘さが苦手な方にも、バレンタインにちなんだ一皿で、恋する気持ちを伝えてみませんか。
チョコレートの主原料「カカオ」のコクと風味、ハーブのような苦みと味わいが、バレンタインディナーにぴったり。ワインを楽しみながらいただけるチョコレート料理。
実は、チョコレートはいろんな食材とマリアージュ上手なのです。
煮込み料理の隠し味にチョコレート
よく、カレーを作る時、カレールウと一緒に隠し味にチョコを1~2片入れて味にコクをだすようにしますね。スーパーに行くと、市販のカレールウの場所に一緒に置かれてあるのを良く見かけます。
カレー粉だけでは少し深みが出ないとき、コクとトロミ出しで重宝します。
このカレーの原理を活かして、「ハッシュドビーフ」やハンバーグにかける「ドミグラスソース」にチョコを入れるのは定番です。
しかし、カレーのスパイシーな香りや味、ドミグラスソースなどはトマトや野菜果汁の味が強くて、どうしてもチョコは「後ろにこっそり隠れている」感が否めません。
せっかくのバレンタインのお祝い料理なら、もう少し頑張ってチョコに前面に出てきてもらいましょう。
ワインソースとチョコのマリアージュで、コクのあるビターなソース
チョコの歴史は、やはりヨーロッパで古くから親しまれましたので、やはり欧風料理が合います。
特に、ワインを片手に楽しむチョコレートディナーであれば、料理にもチョコとワインをマリアージュさせてみましょう。これなら、ワインのお供に合うこと間違いなしです。
まずは、「鴨肉のロースト・チョコレート風味ワインソース」添えのレシピから。
もちろん鴨肉が手に入りにくかったり、お値段が高かったりする場合は、鶏肉でも代用可能です。赤身の牛肉(外国産のもので十分)もあいます。要は比較的脂身の少ない、さっぱりしたお肉に相性が良いようです。
その方が、ワインの風味だけでなく、チョコのほろ苦い香りやインパクトが活かしやすいです。
鴨肉もしくは、牛肉の赤身かたまりなどを、フライパンで表面にこんがりと焼き目を付けてローストします。そこへ要のワインとチョコをマリアージュさせたソースをからめます。
ソースの作りかたは、まず、鍋に赤ワイン500CCを入れ、ややとろみがつくまで煮詰めます。ワインの良い香りが立って来たら、そこへ水100ccとブイヨンなどスープのもとを入、焦がさないように半量になるまで煮詰めていきます。
普段はチョコと主役を張る砂糖ですが、今回お砂糖は脇役で、味にまろやかさを出すために隠し味として、ひとつまみほんの少々を入れます。
コクを出すために、ここへ刻んだチョコレート(ビタータイプ)を溶かし入れます。
甘みがない、製菓用のチョコレートが、刻みやすく、また、お味の調整もしやすいです。チョコを入れたら、さらに焦がさないようにひと混ぜし、お肉に絡むトロミづけとして、コーンスターチを少々振り入れます。
小麦粉だと、少し粉っぽさが残るので、ブランマンジェなどを作るコーンスターチか、なければ水溶き片栗粉でも良いかもしれません。
さて、これをローストした鴨肉に添えるだけ。
クレソンやロケットなどの葉物のグリーンを添え、スプーンでお肉の上にたっぷりかけます。
そして、残ったソースはお肉の周りのお皿の白い余白に、アートっぽく描いて、チョコの深い色味を楽しみましょう。付け合せにプチトマト、黄色のパプリカなど彩りよく。鴨肉と一緒にローストした小ぶりの皮つきジャガイモなども、ソースとつけながらいただくと食感の変化が楽しめます。
「らふてい風の豚の角煮・チョコレートとチーズかけ」で舌もアツアツ、二人もアツアツ
お次は、こってりとしたコクと塩味、独特のクセがみんなの人気者のチーズと、チョコレートをマリアージュさせます。
甘さと香りをチョコで表現し、最後にチーズをのせオーブンで焼く事で風味のある一皿に。甘塩っぱい味わいが、またまた、お酒のお供にぴったりです。ワインはもちろんのこと、沖縄や鹿児島でよく食べられる「らふてい」風なので、焼酎にも、ご飯のおかずにも合います。
主役は豚肉。豚バラのかたまり肉300gの表面を、こちらもフライパンでしっかりと焼いて行き焦げ目をつけて、肉汁を逃さない膜を作ります。そして豚バラ肉の角煮を作る要領で、大き目の鍋で、かたまりのままお肉を煮ていきますが、今回はその煮込みタレにチョコレートを使ってみましょう。
煮込みタレの材料は、鍋に、濃口醤油200ccと酒200cc、砂糖50グラム、鶏がらスープの素を溶かした出汁1リットルを合わせ、ショウガ数片と長ネギの青い部分の切れ端を放り込んで、火をつけ、スープを沸かしていきます。
煮立ったら、灰汁をとって、表面を焼いた豚肉のかたまりを投入。さらに、今回の味付けのポイントのチョコレートを刻んだもの入れて、鶏がらスープの素を溶かしたもの1リットル、チョコレートを刻んだものを200グラム加えていきます。
このチョコレートは、お砂糖やみりんの代わりなので、甘い板チョコでも大丈夫。チョコレートによって甘味の度合いが違うので、少し味見をしながら足していくと、甘すぎず、苦みと甘味のバランスがとりやすいようです。
落し蓋をして、このチョコ入りスープで豚肉をコトコト煮込んでいきます。焦げ付きやすいので、あまり強火にはせず、中までじっくり火を通していきます。お急ぎの方は、圧力鍋などを使うとしっかりと仲間で火が通りますね。
さて、煮あがった豚の角煮を、1センチ幅くらいに切り分けます。
そして、グラタン皿などに1人前2~3切れを盛り付けたら、そこへ、「追いかつお」ならぬ「追いチョコ」です。
角煮の上に、パキパキと手で折ったチョコを数片パラパラとチラシ、さらにその上に、とろけるタイプのチーズをオン。
このままグラタンのように、オーブントースターで5~8分焼きます。
チーズとチョコが焦げやすいので、両方がトロッとしたら、出来上がりの合図。オーブントースターから取り出したら、刻みパセリか万能ねぎの刻んだものを散らすと、彩りがよくなります。
地味なルックスの「豚の角煮」が、ビーフシチューのような見た目に大変身し、角煮のコックリした味わいに、苦みのアクセントとチーズのしょっぱさが絶妙です。
味噌とも会うチョコレートで和と洋のマリアージュ田楽
チョコレートはスイーツとして甘いものを食べるだけ、といった常識が変わりませんでしたか?カカオの苦みをうまく引き出せば、ソースやタレの奥行きがぐっと広がります。
田楽などのみそにも、チョコレートを少し混ぜると風味やこくが深まるのは、プロの料理人の世界では良く知られているようで、特に味噌だけで黒い田楽ソースを作ると、しょっぱくなってしまうのですが、塩気を立たせすぎないで、こっくりとした色合いやとろみを出すのに、チョコレートはよい仕事をしてくれるようです。
ワインとのマリアージュ、チーズとのマリアージュ、そして味噌など伝統的な和食とのマリアージュ。さすがバレンタインの主役、チョコレート。
チョコレートは、ハートを熱くする二人のバレンタインの思い出に、なくてはならない存在ですね。